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June 17, 2020
モバイル広告フラウドは3つのカテゴリに分類されます。ここではオーガニックポーチング(オーガニックインストールの盗難)をご説明します。ジャンクインストールとファントムインストールについては、過去の記事をご覧ください。
オーガニックポーチングとは、元々どこか別の場所で発生したと思われるインストールのアトリビューションを盗むフラウド手法の事を指します。
オーガニックポーチングは、人工的につくられるジャンクインストールや、実際には発生していないファントムインストールなどとは別種のフラウド手法です。
オーガニックポーチングは、パフォーマンスに偏重するマーケティングを悪用しようとするフラウド事業者にはうってつけの手法です。
多くの広告主は優れたパフォーマンスを発揮するアドネットワークを血眼になって探していますが、一方でフラウド事業者が別のフラウド手法でライフタイムバリュー(LTV)が低いユーザー(インストール)を排出しています。
しかし、オーガニックポーチングによって別の配信先(フラウド行為を行うアドネットワーク)にアトリビュートされたユーザーは、オーガニックのインストールとまったく同等のLTVを記録します。オーガニックからポーチ(盗難)されたユーザーは見かけ上高クオリティであるため、広告主はオーガニックポーチングを行うアドネットワークを誤って信頼し、多額の出稿を行いがちです。
しかしながら、オーガニックポーチングによるインストールが増えれば増えるほど、同じ分だけオーガニックのインストールは減少します。
その反面、オーガニックポーチングを行うアドネットワークを停止すると、それに応じてオーガニックのインストールは増加します。いずれの場合も、合計インストール数は変わりません。唯一の違いは、本来オーガニックであるべきインストールに対して広告料を支払うかどうかなのです。
オーガニックポーチングのタイプ(種類)
オーガニックポーチングには、フィンガープリンティング、クリックインジェクション、クリックスパミングなど、数多くの手口が存在します。
これらの手口にはそれぞれ特徴があり、より深く究明するために各手口をのテーマとして、複数の記事を公開しています。
● フィンガープリンティング
● クリックインジェクション
● クリックスパミング
ケーススタディ:マーケターと経営層の評価基準がズレている会社
ケリーは、シリーズBのラウンドで資金を調達した急成長のモバイルアプリ企業のCMOを務めています。この企業は、オーガニックでのトラフィック獲得に飽き足らず、広告費を投下してユーザーを獲得することを検討していました。
ケリーはグロース担当ディレクターとしてジーンを雇い、広告によるユーザー獲得の責務とそれに必要な予算を割り振りました。ジーンの重要な目標は、品質基準を満たすアドネットワークからのユーザー獲得を増やすことでした。
ジーンの努力は、当初は非常に成功したように見えました。ジーンはオーガニックユーザーと同等の価値を生むユーザーを獲得できるアドネットワークだけで広告予算を全て使い果たしました。
ケリーはジーンの広告予算を増やすことを毎月承認しました。しかし、堅固な成長を数ヶ月続けた後、ケリーは全体的な成長が加速していないことに苛立ちを感じていました。
ケリーはアドフラウドの存在を疑い、MOLOCOの提供するDoubleCheckを活用して何が起こっているのかを明らかにしようと試みました。
DoubleCheckでジーンが広告費を投下したアドネットワークを調査した所、ほぼ全てのアドネットワークで、何らかの手口のオーガニックポーチングが行われている事ことが判明しました。広告経由のインストールが増加するたびに、オーガニックのインストールが減少していたのです。
全体的なインストール数は変わっていなかったにも関わらず、以前は無料で獲得できていたオーガニックのインストールを、わざわざ広告費を払って獲得するという状況に陥っていました。ケリーはジーンを解雇し、すべてのアドネットワークを停止したところ、それにも関わらず全体のインストール数には変化がないという事が判明しました。
このケースでは、自らのオーガニックインストールに広告費を払うという形で、広告とオーガニックの間でユーザーの共食いが発生していました。
ジーンは職を失ってしまいましたが、ケリーにも正しい評価基準を設計しなかったというミスがあるかも知れません。ジーンのようなグロース担当者は、常に予算を使い、それを増やす努力をしています。
もし社内で相対する部門の責任者が責任を持ってオーガニック成長のモニタリングを担当していたとしたら、彼らはジーンの手法を押し返したかも知れません。しかし、実際はこのような形で組織されたモバイルアプリ企業はほとんどなく、意図せずオーガニックポーチングを促進するような社内の評価基準が起こり得ます。
ここから教訓として得られる、モバイルアプリ企業のリーダーが自分たちの身を守る方法は以下です。
● 大幅な変更を行った際は、常にオーガニックインストール値が予期せぬ増加や減少を伴っていないか確認する。
● 広告部門と釣り合いを取るための組織として、オーガニックトラフィックを担当する部門を設置する。
● 包括的なフラウド対策ツールへのアクセスを各部門に提供することで、フラウド行為に対抗する組織文化を推進する。
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