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リテール・メディア・サプライサイド・プラットフォームだけでは広告ビジネスを救えない理由

By:
Jon Flugstad
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October 2, 2024

リテールメディアはデジタル広告の中で最も急成長している分野であり、広告費は前年比で20%以上増加しています。しかしリテールメディアネットワーク(RMN)が注目されるにつれ、長期的な成功の可能性を妨げる誤った認識が生まれつつあります。特に2つの通説が、広告ビジネスを拡大しようとしているECサイトに混乱をもたらしています。

  1. RMNが多すぎる:世界に200以上のRMNがあると推定され、断片化や広告主との関係管理の難しさが懸念されています。
  2. リテールメディアプラットフォームがデマンドをもたらすはずである:「成長はサードパーティのアドテックパートナーが広告主を惹きつけられるかどうかにかかっている」と暗に意味しています。

これらの思い込みはいずれもRMNの真の価値と独自の役割を見落としています。RMNはサードパーティのソリューションに依存しているわけではなく、むしろ自らの広告エコシステムをコントロールできる可能性を秘めています。高度なテクノロジーと機械学習の活用により、RMNは成長を促進し、関連性を高め、広告主との直接的な関係を強化できるのです。

広く採用されているものの誤ったアプローチのひとつに、リテール・メディア・サプライサイド・プラットフォーム(SSP)を構築し、RMNが複数のデマンドソースを管理するようにして収益増加を促進しようとする試みが挙げられます。以下ではこの仕組みについて解説し、このアプローチではRMNが本当に必要とする規模やパフォーマンスを提供できない理由を探ります。

「リテールメディアSSP」とは?

「デマンドをもたらす」ためのソリューションとして一般的にリテール・メディア・サプライサイド・プラットフォーム(SSP)の構築が提案されます。SSPは複数のデマンドソースを管理し、収益を高めると言われています。このアプローチは一見すると魅力的に見えますが、実際にどのように機能するのか、そしてスケールアップを目指すRMNに十分な成果をもたらさない理由について詳しく見てみましょう。

リテールメディアSSPの仕組み

RMN/パブリッシャー側

  1. SSP対応プラットフォームの選択:RMNはSSP機能を備えたオンサイト広告プラットフォームを選択します。ここでの焦点はデマンドの調達であり、多くの場合、サードパーティの広告ネットワークから、またはデマンドサイドプラットフォーム(DSP)から直接調達されます。

  2. 入札の優先順位付け:RMNは入札に優先順位を付けるロジックを設定します。ヘッダー入札やウォーターフォールロジックなどの方法を用いて、異なるソースからの入札を受け入れます。

  3. 取引タイプと広告主ティアの設定:RMNはプライベート取引や優先取引(プログラマティック保証やプライベートマーケットプレイスなど)、リアルタイム入札(RTB)のオープンオークションから選択します。また、RMNはトップクラスのエンデミック広告主(すでにそのECサイトを通じて商品を販売している広告主)のために優遇ティアを設定したり、ノンエンデミック広告主にプラットフォームを開放したりすることもできます。

広告主側

  1. DSP経由での在庫へのアクセス:広告主は任意のDSPを使って複数のRMNが提供する取得可能な在庫に対して入札を行いします。広告主はリアルタイムオークションに参加することも、手動でキャンペーン入札を行うこともできます(Pacvueなどのツールによるスポンサー商品のためのCPC入札など)。

  2. 入札の実行と広告の配信:入札が行われると、アドエクスチェンジを経由するか、または直接RMNに送られ、RMNは事前に設定されたルールに基づいて広告を配信します。

  3. パフォーマンスのトラッキングと最適化:DSPはキャンペーンのパフォーマンスをレポートし、過去のデータに基づいて入札戦略の改善方法を提案します

多くのリテールメディアネットワークがGAMやCriteoなどのプラットフォームを利用する背景には、このように「デマンドをもたらす」ことに重点が置かれていることがあります。問題は、このようなアプローチではビジネスを大きく成長させられないことです。

リテールメディアSSPだけでは成長できない理由 

SSPにはいくつかのメリットがありますが、RMNの本当の意味での成長を阻んでいる欠点がいくつかあります。ブランドとの関係からECサイトによる仲介が排除され、パフォーマンスの妨げとなるデマンドサイドの料金が追加されることに加え、SSPでは不十分な理由として他にも以下が挙げられます。

  • 既存の在庫パフォーマンスが改善されない:SSPは複数のデマンドソースを提供するかもしれませんが、根本的なパフォーマンスの問題を解決することはありません。機械学習(ML)をベースとした関連性とユーザーの行動に関するリアルタイムのデータがなければ、RMNは広告の関連性を最適化するために必要な1対1のパーソナライゼーションを提供できません。

  • 広告主が媒体に関するリスクを負う:多くのリテールDSPは真のDSPではなく、キャンペーン管理ツール(CPC入札など)として機能します。つまり、広告主はターゲットROASのような成果ベースの入札モデルを使用せず、パフォーマンスリスクを負うことになり、成長が制限されます。

  • 在庫がコモディティ化するリスク:プログラマティックなRTBのセットアップでは、広告主が競合他社を含む複数の在庫ソースを通じて最適化することができます。確率的なオークションとMLによる効率性のコントロールを失うことで、RMNは広告在庫をコモディティ化するリスクを負います。

  • パフォーマンスを伴わないデマンドが予算使用率やフィルレートの低下につながる:広告主は広告を出したがっているものの、広告の成果が見られないと予算が十分に活用されなくなり、フィルレートが低下します。さらにパフォーマンスが悪いと広告主の不満が募り、広告が減らされるか、広告主が完全に離れてしまいます。

  • 不適切な広告パートナーに対する過剰なインデックス戦略:RMNへの支出の大部分がエンデミック広告主からもたらされるケースがよくあります。例えば、収益の大部分(例えば70%)がエンデミック広告主のスポンサー商品によるもので、30%がディスプレイ広告、ノンエンデミック広告主によるものがわずか(10%など)である場合、RMNはより少ないデマンドのサブセットを中心に戦略を構築するかもしれません。これにより、新たな成長機会を開拓する能力が抑制される可能性があります。

このようにリテールメディアSSPの限界は明らかであり、在庫パフォーマンスを改善できないだけでなく、リスクを広告主に転嫁し、予算が十分に活用されない状況を招きます。RMNが真に規模を拡大するには、単にデマンドを調達するだけでは足りません。それよりも、ファーストパーティデータやリアルタイムのユーザー行動に関するデータといった独自の強みを活かして関連性やパフォーマンスを強化し、成長へとつなげることが重要です。

ここで、機械学習と目的に応じたアドテックソリューションが役立ちます。

リテールメディアネットワークが鍵を握る 

SSPは、何十万ものパブリッシャーにまたがるリアルタイム入札を可能にすることで、リテールメディアよりもはるかに大規模にデジタル広告の問題を解決したことを理解することが重要です。リテールメディアのダイナミクスは独特であり、ほとんどの広告主にとって、本当に重要な成果をもたらすRMNは10〜20に過ぎません。

リテールメディアネットワークは単なるパブリッシャーではなく、実質的にエンデミック広告主の顧客といえます。これらのネットワークは、オープンインターネットのパブリッシャーよりもAmazonやMeta、Googleのモデルに近い、小規模バージョンのウォールドガーデンとしてみなされるべきです。RMNには、取引ポイントに近い在庫、広告にとって最良のファーストパーティデータ、すでに自社プラットフォームを通じて販売しているブランドとの密接な関係という明確な強みがあります。

これらの強みをフルに活用するために、RMNはデジタルマーケティングの65%を占めるAmazonやMeta、Googleが採用しているプレイブックに習い、以下に重点を置く必要があります。

  • 最高のテクノロジーと機械学習を利用して関連性とパフォーマンスを向上させる
  • 容易にデマンドを拡大できるツールを活用し、媒体投資のリスクを軽減する
  • オーガニック指標を犠牲にすることなく広告在庫を拡大する

リテールメディアSSPだけでは、これらのギャップを埋めることはできません。RMNが真に必要としているのは、Molocoのように目的に合った機械学習ベースのソリューションを提供し、これら3つの課題すべてを解決できるパートナーです。ファーストパーティデータの予測力を最大限に活用することで、MolocoはECサイトが広告エコシステムをコントロールし、持続可能な成長を実現できるよう支援します。

Jon Flugstad

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